2023.04.13

浴衣に関するしっておきたい豆知識 業務用浴衣の専門店が歴史や着方から解説します

浴衣に関するしっておきたい豆知識 業務用浴衣の専門店が歴史や着方から解説します

ホテル・旅館用タオルなど業務用タオル専門店コットン幸新の清水です。当社は昭和55年の創業以来業務用タオルの専門店として商いを営んで参りました。業務用タオルの販売を通じてホテルや旅館様用の浴衣や帯、アメニティなどの周辺グッズを取り揃えており、北海道から沖縄まで全国のホテルや旅館様とお付き合いさせていただいております。

今回は、これまでの知識を生かし、ホテル用の浴衣について紹介していこうと思います。

浴衣の起源は平安時代、貴族が蒸し風呂に入るとき、水蒸気でやけどしないように着た「湯帷子(ゆかたびら)」がはじまりとされています。この時代の風呂は専用の衣服を着て入る蒸し風呂で、複数の人と入浴する機会があったため汗取りと裸を隠す目的もあったようです。

安土桃山時代には、裸で湯に浸かる入浴習慣が生まれ、風通しがよく肌の水分を吸い取らせる目的から、湯上がりに着るようになっていきました。また、江戸時代後期、銭湯の普及にともない浴衣も庶民の湯上がり着として広がっていきます。

次第にそのまま着て外へ出るようになったことで、外着へとその用途を変えていきました。江戸時代では、盆踊りや花見などに揃いの浴衣で出かけることが流行し、華やかな文禄が生まれました。そして、歌舞伎役者が舞台で着た衣裳を庶民が真似したことで、浴衣文化が江戸に花開きました。

もう一つ、江戸時代に浴衣が広まった要因として「天保の改革」が挙げられます。天保の改革で、町人は絹を着てはならないという掟が出されてからは、木綿の浴衣が益々発達しました。浴衣が夏の普及着として全国に定着したのは明治時代に入ってからです。それまでの木藍の手染めに変わって、大量生産が可能な「注染(ちゅうせん)」という染色方法が発明されました。注染は本染めとも呼ばれており、微妙な色のにじみ具合や優しい濃淡など、手作業ならではの風合いが特徴です。

浴衣と着物の違いは、「着用する時期・場面の違い」です。浴衣は一般的には涼を感じる"お出かけ着"として、夏祭りや花火大会などの、夏のイベントで着られることが多いです。暑い時期に着る浴衣は、木綿・麻・ポリエステルで作られるのが一般的。木綿や麻は汗や水分をよく吸収する素材であり、このような素材で浴衣は作られています。

一方、着物は夏に着ることもありますが、肌襦袢や長襦袢を着たり、足袋を履いたりするため、夏用の薄手生地であっても暑く感じます。"正装"や"晴れ着"として、結婚式やパーティーのようなお祝いの席、初詣、七五三、成人式などで着用されるものとされています。

着物は、最上級の生地が絹です。他にも、麻やウール、ポリエステルなどで作られているものもあります。厚手でシワになりにくく、保温性のあるウールや光沢があり柔らかい素材が使われているものが多いです。

浴衣を着るときの衿(えり)は、右と左どちらを前にするかって迷いませんか?これ、正解は左を前にするのが正解です。一般的な夏のファッション浴衣も、ホテルや旅館用の浴衣もすべて左を前にするのが正解です。

皆さんが迷ってしまったり、間違えてしまう理由はふたつでしょう。1つは左を前にするのに右前と言う。もう1つは、洋服は一般的に男性は左側が上、女性は右側が上と異なるためだと思います。右前の「前」とは、和服では『手前』という意味になります。自分の手前に右側がくるため重ねた上は左になります。ややこしいですよね。

これ、浴衣に限らず着物でも同じです。和装の基本なので覚えておくと良いと思います。唯一右を前に着る(左前)場合は、亡くなった方に着つける場合です。これは死んだ後の世界と、生きている現生は、全てが逆になると考えられているからです。そのため、浴衣を着る際に右を前で合わせている(左前)と、「死装束の着方なので縁起が悪い」ということなのです。

ここで注意!浴衣の着方は男性と女性とで一緒ですが、浴衣用の帯は男性と女性とで締め方が違いますので覚えておいてくださいね。

男性と女性の帯の締め方の違いはこちら

浜松市は、注染ゆかたの生産量日本一だと言われています※1。浜松地域における浴衣生産のルーツは、江戸時代の中期、「遠州織物(えんしゅうおりもの)」にあるそうです。

浜松地域(遠州地域)は、日照時間が長く、温暖な気候のために綿が育つということで、綿花の一大産地として栄えました。染めの技術も浜松で独自に発展を遂げ、「浜松注染」と呼ばれ、高い評価を得るようになります。遠州のからっ風と呼ばれる風の強さと天竜川の伏流水という水の品質の良さも相俟って織物や染め物の産地として発展してきました。

もともと浜松では、手ぬぐいが多く生産されていました。浴衣の生産は、大正時代にさかのぼります。関東大震災のあとに東京を離れた浴衣職人が、浜松に移り住んだのが始まりと言われています。その後、明治時代には織機が発達。それとともに浜松は東京・大阪と並ぶ「注染ゆかた」三大産地のひとつとなりました。

浴衣には暑い日本の夏を快適に過ごす工夫が凝らされています。古典的な浴衣には紺地と白地が多く見られます。白地の浴衣は昼用で、家の中で着ると真夏でも涼しく過ごせますし、見ていても涼やかに感じられます。紺地の浴衣は紺色に染めるために使われる染料「藍」の香りを虫が嫌うことから、虫の多く出る夕方から夜にかけて着用するのが良いとされています。

コットン更新は静岡県浜松市にあるホテル・旅館用タオルなど業務用タオル専門店です。タオルを中心にホテルや旅館用の浴衣や帯の取り扱いも行っております。当社で扱う国産の浴衣はそうした背景から、浜松産の浴衣を取り扱っております。特に浜松は業務用浴衣の生産が盛んで、浜松産の業務用浴衣は、ホテルや旅館さんからも非常に好評です。

※1浜松市は日本一のゆかたの産地だと言われていますが、裏付ける資料データは存在しません

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この記事はわたしが書きました

清水大介(しみずだいすけ)

株式会社コットン幸新 代表取締役

1980年創業、繊維製品販売するコットン幸新2代目として令和元年に代表取締役就任。子供のころから父親の働く姿を見て将来の夢は、同じ仕事をやりたいと心に抱いていました。そんな私も今は、3児の父。後を継いでもらえるように子供たちに背中を見せれればと思っております。
常にお客様ニーズに合った提案ができるように心がけています。

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